第35章 番外編 F6 チョロ松と専属メイドの秘め事(長編)
思わずキスをしてしまったけれど、貴女の唇は柔らかく僕を受け入れてくれた。
だって、愛しい貴女が目の前で悲しそうに泣いていたんだ。我慢出来るはずがない。
ファーストキスの味に酔いしれた僕は、そのまま主を抱きしめる。
「チョロ松…様…」
「私が、『他の女性(ひと)と永遠の愛を誓っても』と、言いましたね?貴女は、毎日私の側に仕えて、何を見ていたのですか?」
「…申し訳ございません」
主は頬を赤く染めながらも、寂しそうに俯いた。
(そんなに傷つけるような事を言ってしまっただろうか?)
僕はあやすように主の髪を撫でた。
自然と、緊張せずに振る舞えた自分に驚く。
「主。私の話を聞いてくれますか?」
主は僕の腕の中、静かに頷いた。