第35章 番外編 F6 チョロ松と専属メイドの秘め事(長編)
「えーと…そうですね、そこには『永遠の愛を誓う』と記されて…って、いやっ!あの!翻訳しただけでべべべべつに深い意味なんて…!」
「ふふっ、分かっております。でも、本当に素敵ですね…」
悠久の時を経た石板に刻まれている、愛の誓いに胸が高鳴る。
ふと、一松様のあの言葉が脳裏によぎった。
「同じ時代に生まれ落ち、同じ時、同じ場所で過ごせる事、それは、何物にも代えがたい、か…」
「どうしたのです?」
わたしは、胸の高鳴りを抑えきれず、チョロ松様の肩に頭を預けてしまった。
「わたし、チョロ松様と出会えて…本当によかった」
「主…」
「この想い、たとえ叶わなくても…チョロ松様が他の女性と永遠の愛を誓われても——わたしは、わたしは…っ」
泣くはずでは無かった。
ニッコリと笑いたかった。
それなのに、涙が勝手に溢れ出してしまう。
すると、
「勝手な事、言わないでください」
チョロ松様の唇が、わたしの唇と重なり合った。