第35章 番外編 F6 チョロ松と専属メイドの秘め事(長編)
「おそ松兄さんの事は、ど、どう思っているんですか?」
「おそ松様…ですか?」
「ええ…」
不安そうな瞳がわたしを見ている。
「おそ松様の事は、心の底から尊敬しております。ですが、それ以上の気持ちはございません。って、あのっ!メイドの分際で無礼な発言、大変申し訳ございません!」
「そう…ですか。私もおその事は尊敬しています。だって、私がずっと怖くて出来なかった事を、正々堂々とやってのけたのですから」
「怖くて出来なかったこと?」
聞き返した直後、チョロ松様は激しく動揺し始める。
「い、いえいえいえ!!そ、そういう意味では無いんですよ!!そそそういう意味では…ない…こともない…のかも……あれ?このしおりは?」
慌てふためいていたチョロ松様は、クローバーのしおりに意識を向け幾分か冷静を取り戻している。
「それは、わたしが庭で見つけたクローバーをしおりにしたんです。チョロ松様に使って頂きたくて」
「ありがとう。花言葉は確か、『私のものになってください』ですね」
「え?『わたしを想って』では無いのですか?」
「そ、それも…あ、ああありますね!」
お互い、花言葉の会話をしているだけなのに顔が真っ赤になってしまった。
「あぁっ、そうそう!こ、これを見せようと思っていたんです!」
立ち上がり、チョロ松様は布で覆われた何かを持ってきた。
丁寧にゆっくりと机に置き、布をめくる。
厚手の布の中から出てきたのは、
「わぁ…っ!!」
古めかしい石板だった。