第35章 番外編 F6 チョロ松と専属メイドの秘め事(長編)
「チョロ…松様…」
「チョロ?」
おそ松様が振り向き腕の力が弱まった隙に、わたしは涙を拭ってチョロ松様の元へ駆け出した。
ゆっくりと歩いてくるチョロ松様の目の前で、膝を抱え呼吸を整えていると、わたしの前で彼は歩みを止めた。
「チョロ松様っ!あ、あの…っ!」
「主。ただいま」
チョロ松様はふんわりと微笑を浮かべている。
「…チョロ松」
おそ松様がこちらへ来ると、チョロ松様の表情は怒りの色を見せ、私の肩を抱きよせた。
「!!」
チョロ松様…わたしの肩を抱くのはおろか、指一本触れる事すらなかったのに…。
「…おそ松兄さん。僕の主に涙を流させて何をしているんだい?」
「チョロ松…お前はどうなんだ?」
「どう、とは?」
二人とも、真剣な目つきで睨み合って動かない。
「俺は、主ちゃんが好きだ」
「おそ!お前は、何を言っているか分かっているのか!?後先考えずそんな事を言って、恋愛沙汰になれば、主はこの屋敷を」
「そんなの関係ないじゃないか!自分で責任を持って幸せにしてやれば良いだけの話だ!」
「っ!!」
チョロ松様は黙り込む。