第35章 番外編 F6 チョロ松と専属メイドの秘め事(長編)
書庫に辿り着くには、チョロ松様の自室がある本館から外へ出て別館に行かなくてはならない。
(お、思っていたより大変…かも)
本は見た目よりもズシリと重たく、わたしは休み休み運んでいた。
途中他のメイド仲間ともすれ違ったが、みんなパタパタと慌ただしく駆け回り、挨拶だけ済ませ通り過ぎて行った。
(チョロ松様、いつも軽々と持っているように見えたけれど…)
無駄な贅肉が一切無いスマートな体型に、きっと、程よく鍛えられた筋肉が……って!
(わたしってば!!何裸なんて想像してるんだろう!?)
イメージしただけで頭から湯気が出る。
そんなこんなで一人で盛り上がりながら、ようやく外に出る扉の前まで来た。
(まずは、本を置いてから扉を開けて、それからドアストッパーを…)
一旦本を棚に置こうとすると、不意に腕が軽くなった。
「わっ!」
「健気なレディーだね。でも、言いつけを守らない悪い子は、チョロにオシオキされちゃうよ?」
本を片手で持ち、おそ松様は爽やかな笑みを浮かべていた。