第35章 番外編 F6 チョロ松と専属メイドの秘め事(長編)
チョロ松様は、わたしから奪うように本を取る。
「チョロ松様、シェイクスピアお読みになるんですね。ロミオとジュリエットわたしも大好きなんです!あら?こちらの本は…メ、メイドとの道ならぬ恋!?」
「だだだだ駄目ですっ!!か、返してくださいっ!!」
「キャッ!」
二冊目も大慌てでわたしから本を取り上げ、高い棚に上げてしまった。
「こ、これは、論文資料です!!れれれ恋愛が、脳にどのような影響を及ぼし、脳内ホルモンとのあんなことやそんなことをあーしてこーしてほにゃららブツブツ……」
急に難しい単語が列挙され、わたしの脳が追いつかなくなる。
「と、とにかく!私は今無性にカフェインでブレインを満たしたいのです!コーヒーを淹れてきてくれますか?」
チョロ松様は学術用語を連呼するとようやく落ち着きを取り戻し、コホンと小さくせきばらいをした。
「かしこまりました。では、いってまいります!」
わたしはぺこりと頭を下げ、少しだけ早足で給湯室へと向かったのだった。