第35章 番外編 F6 チョロ松と専属メイドの秘め事(長編)
—ドサドサッ—
自室に戻ると、チョロ松様は持っていた本をデスクに山積みにした。
重い本から解放され小さく息を吐いている。
「主、先ほどと同じブレンドコーヒーを淹れてくれますか?」
「かしこまりました。あ、それとこちらが、おそ松様から預かってきたPV撮影の予定表でございます」
「ありがとう。パソコンの前に置いておいてください」
返事をして、パソコンの前にクリアファイルを置く。と、チョロ松様は少しぎこちなく声をかけてきた。
「す、少しだけ…少しだけですけど、戻って来なくて心配してました。おそと何かあったのですか?」
ドキリと胸が高鳴る。
「あ、ええと…廊下で十四松様とトド松様にお会いして、つい話し込んでしまいました。大変申し訳ございません」
チョロ松様に初めてついた嘘だった。
「ハハッ、そうでしたか」
「で、では、今コーヒーをお淹れ致しますねっ」
わたしがキッチンに向かおうとすると、デスクの上にあった一冊の本に手をぶつけて、床に落としてしまった。
「っ!申し訳ございません!」
拾い上げると、本のタイトルが目に入る。
(ロミオとジュリエット?チョロ松様、こういうの今まで読んでいたの見た事ないけれど…)
意外な一冊を手に取り眺めていると、
「あ、ちょっ!そそそそれはーっ!!」
チョロ松様が慌てふためいた。