第35章 番外編 F6 チョロ松と専属メイドの秘め事(長編)
「近すぎて見えない?すみません、難しくてよく分かりません」
「物事は俯瞰すれば、ええと、簡単に言うと客観的に見られれば分かるってこと」
「わ、わかりました…?」
おそ松様はツンとわたしのおでこに人差し指をあてた。
「アハハッ!頭の上に『?』が浮かんでるよっ!キミってホントに分かりやすいね!うん、ホントにさ——」
「申し訳ございません…」
おそ松様には何でもお見通しである。
「ま、あんまりチョロの心をかき回さないで。アイツは真面目で誠実な分、とてもウブなんだ。あと…僕の心もこれ以上…で…に……いで——」
「あ、あの…申し訳ございません。最後何ておっしゃったのか、上手く聞き取れませんでした」
わたしがそう言うと、それまで優しかったおそ松様の表情が、一瞬だけギラリと豹変し、
「じゃあもっと、顔を近づけて話さないとね?」
「えっ!?お、おそ松様…!」
ソファーの上でおそ松様が覆い被さってきた。