第34章 番外編 F6 一松と囚われの姫君
—ズルリ…—
「!?」
急に触手の動きが止まり、力なく地面に崩れ落ちていく。
床に放り出された俺は、すぐさま主の身体を受け止め抱きしめた。
指で目尻に溜まった涙を拭ってやると、主は周囲を見回した。
「一松…これは、一体?」
「分からない。もう終わったという事なのか?」
あんなに騒ぎ立てていたイヤミ達は、口を閉ざし立ち尽くしている。
しばらくすると、イヤミがゆっくりと手を叩き始めた。
その目には溢れる涙。
すると、手下達もだんだんと拍手を始める。
一つ、また一つと音が増し、怒号のように部屋に鳴り響いていく。
と、唐突にイヤミが手を挙げ、拍手がピタリと鳴り止んだ。
「完敗ザンス」
「なんだと?」
「ミー達が間違っていたザンス」
イヤミ達は全員泣きながら顔を真っ赤にしている。
「どういうことなんだ?」
「二人の愛に負けた…ただそれだけザンスよ。これ以上聞くのは無粋ザンス」
—バサッ—
目の前に俺達の服が投げ込まれた。