第34章 番外編 F6 一松と囚われの姫君
——ジャリ…
「う…ん……」
なんだ?
身体が動かない。
まるで鉛のように重い。
いや違う。
動かないのでは無く「動けない」のか?
俺は…一体?
確か、帝国の追っ手から逃げ…そして——。
…そうだ!
主を助けなければ!!
重い瞼をゆっくり開けると…
「うっひょひょー!お目覚めザンスかー?一松さまぁ?」
「こ、これは!?」
全面ガラス張りの部屋に、鎖で身体中を繋がれていた。
身に纏うものは何も無く、少しでも身体を動かせば、鎖がギチギチと素肌にアザを残してゆく。
「あの小娘を救いにたった一人で来るなんて、飛んで火に入る夏の虫とはまさにこの事ザンス〜!うっひょっひょひょひょーー!!」
「お前は…っ!帝国の指揮官イヤミ!!」
どうやら、イヤミがアジトのボスだったようだ。動揺する俺を、大勢の手下と共に嘲笑っている。
「貴様…これを解け!!主はどこにいるんだ!!」
「やかましいっ!チミは捕まっておきながら、自分の立場を全く分かってないザンスねー!」
イヤミがパチンと指を鳴らすと、俺の全身に激しい痺れが駆け巡った。
「うあぁぁあーー!!」
「うひょっイイ男…じゃなくてっ!!わかったザンスか?王家の血を引くチミだって、今はカゴに囚われた哀れなピヨちゃんザンス!!」
「ゼェッ…ゼェッ…」
(一体こいつらは…何を企んでいるんだ…っ?)