第33章 アンケート投票第1位 心霊スポットツアー おそ松
チョロ松くんはペンライト、他3人は懐中電灯を点けて車から降りると、トンネルから鼻をつく臭気が漂ってきた。
「…カビ臭い」
一松くんは少し不機嫌そうだ。
お花を持ってトンネル入り口の脇に行くと、おそ松くんもついてきた。チョロ松くんはわたしの先を一人で歩いている。
サワサワと夜風が草木を揺らす音さえも、こういう場所だと不気味に感じた。
「なんてことないただのトンネルじゃんっ」
おそ松くんはペタペタとトンネルの壁を触っている。
「苔だらけだから、あんまり触らない方がいいよ?ほら、おそ松くんと一松くん、手を合わせて。チョロ松くんも」
わたしがお花をお供えして合掌すると、おそ松くんと一松くんもぎこちなく手を合わせた。
「…あれ?チョロ松兄さんは?」
「チョロ松くんなら、わたしの前を歩いていたけれど?」
「えー?あいつ一人で中入ったんじゃね?」
なんて会話をしていたら、
「みんなーーー!!大変だーーーー!!」
ドタドタと足音をトンネルに反響させながら、チョロ松くんがこちらに向かって走ってきた。