第33章 アンケート投票第1位 心霊スポットツアー おそ松
「またひとり…脱落」
一松くんがボソリとつぶやいた。
カラ松くんは心霊体験がショックだったのか、遠い目をして生気がない。パンツ一枚だし外には降りられないだろう。
十四松くんは気絶…というか、普通にスヤスヤと気持ちよさそうに眠っている。
そして、一松くんに驚き、泡を吹いて動かなくなったトド松くん…。
残されたのは、わたしとおそ松くん、チョロ松くん、一松くんの四人のみ。
わたしは思った。
なぜにただの心霊スポット巡りで、こんな事態に陥るのか…と。
やっぱり、松野家はすごい。平和な日常というものがない。
きっとこの人達といれば、毎日楽しく賑やかに、退屈知らずな日々を過ごせるんだろうな…。
でも、
「どうする?四人だけでトンネル行くの?」
こんな状況になってしまったので、みんなに意見を求めることにした。
「…ぼ、僕は、せっかくだから花だけでもお供えに行きたいかな、なんてお、思うけど」
「……」
「えっと、一松くんは?」
「……」
未だに懐中電灯を下からあてたまま黙り込んでいる。
「主ちゃん、一松はたぶん話しかけられて照れてるだけ。一松も行きたいよな?」
「……うん」
「じゃあ決まりだな。っつか、実はもう着いてんだよね〜」
おそ松くんがヘッドライトをハイビームにした。
すると、
「わぁ……すごい」
わたし達の目の前に、出口の見えない石造りの不気味なトンネルが現れた。