第33章 アンケート投票第1位 心霊スポットツアー おそ松
主人公視点
—カチリ—
「心霊スポットその二…性感トンネル…」
「ぎゃあぁぁあ!!」
「…はい。一松、続けて…」
一松くんの下から懐中電灯演出に、案の定トド松くんが驚いている。
チョロ松くんはもう諦めたのか、抱きつかれてもノーリアクションである。
「性感トンネル…そこは、かつてバブル時代、温泉付きラブホテルに連日連夜クソカップル共が押し寄せ、その際に通り道であったトンネルの名称…。」
「うんうん。それで?」
(っ!?)
おそ松くんは、相槌を打ちながらわたしの太腿をさすり始めた。
「ある日、性感トンネルを通過する時、『もうすぐヤレる』と焦ったドライバーが、時速160キロで玉突き事故を起こし、死傷者を数人も出したそうな」
「トンネル内でそんなに飛ばしたの!?っつかどんだけそいつヤリたかったんだよ!!」
(あ…だ、だめ!)
チョロ松くんがツッコミを入れた瞬間、手がスカートの中に侵入してくる。
「その事故以降、トンネルを彷徨う人影が出るという噂が瞬く間に広まった。そして、だんだんと温泉付きラブホの客足は途絶え、人知れず潰れたという。絶望したラブホのオーナーは…性感トンネルの中で、自身の手首を切り自殺。それからというもの、トンネル内では人影に混じり、自殺したオーナーのうめき声が……———うぁぁあああ!」
「んぎゃぁぁぁぁああああーー!!」
「きゃあぁぁ!!」
一松くんがうめき声を再現すると、トド松くんが断末魔の様な叫び声をあげた。
その声に驚き、思わずわたしも悲鳴をあげると、おそ松くんの手がスカートから離れ、ギュッと手を握りしめられる。
(おそ松くん…わたしが怖がらないように?)
「トッティいい加減にしろ!!マジうるせー!!」
おそ松くんが車を停めた。
「ま、待って!おそ松兄さん!!トド松が…!!」
チョロ松くんの声に異変を感じ、わたしが振り向くと…
トド松くんは、泡を吹きながら気絶してしまっていた…。