第33章 アンケート投票第1位 心霊スポットツアー おそ松
(あれ?みんなマジでビビってる?)
隣の主ちゃんをチラ見すると、手をギュッと握りしめながらうつむいていた。
(かわいー!主ちゃんたら怖がっちゃって…)
弟達から見えないように、左手をそっと助手席側に差し出すと、すぐさま細い指を絡ませてきた。少し冷えたその手を暖めるように包み込む。
「…どうすんの?もう帰る?」
一松が沈黙を破った。
「帰る」
「即答だなトド松!うーん、あと3箇所回る予定だったけど、カラ松兄さんと十四松はあんな感じだし、次のところで最後にしようか?おそ松兄さん、次の交差点左で」
「はいよー」
「もう兄さん達!帰んないなら聞かないでよ!」
繋いだ手を一瞬だけ離し、左にハンドルを切った。手を戻すと、主ちゃんは自分から繋いでくる。
(やば。なんかムラムラしてきた…)
俺は主ちゃんの手の甲を、指の腹でそっと擦った。
「っ!!」
(これだけで身体ビクつかせちゃって。ホント敏感だよな…)
「んじゃ、チョロ松のいう通り、次で最後にするか!一松、次の心霊スポットの解説して〜」
俺が頼むと、後ろからカチリと懐中電灯の明かりを点ける音がした。