第33章 アンケート投票第1位 心霊スポットツアー おそ松
到着すると、チョロ松くんが黒いリュックから懐中電灯四本と、なぜかペンライト数本を取り出し手渡してくれた。
「さぁみんな、これを持って降りて」
わたし達が受け取ったのを確認し、おそ松くんがエンジンを切ると、静寂と闇が訪れる。
「わぁーっ!!」
「だからうるさいって!」
トド松くんが小さく叫んでまたチョロ松くんに叱られている。
そんな中、真っ先に降りたのはカラ松くんだった。
「みんな待て!まずはオレが安全確認をする!!」
カチッと懐中電灯を点けてキョロキョロとあたりを見回している。
「フッ、オーケーだ!!さあみんなカモンッ!」
(カラ松くん、すごく楽しそう…。こういう所でしきるのが好きなタイプなのかな)
その声を合図にわたしが車から降りようとドアに手をかけると、ぐいっと隣から引き寄せられ…
「!!」
暗闇の中、おそ松くんにそっと唇を奪われた。
「はーい、みんな降りてーー」
おそ松くんは、何事もなかったかのように車から降りる。
みんなと話していても文句を言わなかったけれど、こういう所でしっかりとヤキモチをアピールするようだ。
(おそ松くん…かわいいな)
わたしは、幽霊ではなく彼に、早速心拍数を上げられてしまったのだった。