第28章 ※アンケート投票第3位 十四松パンとわたし
わたし達が出会ったばかりの頃、十四松くんの背中に乗せられて空を飛んだことはあった。
いや、それも十分信じられないほど凄いことなんだけれど。
でも、まさか、ついに……———
わたしまで空を飛んでしまうなんて…!!
・・・
「スゴい!!街があんなに小さく見える!」
目下に見える美しい夜景に見惚れてため息がこぼれ落ちる。
「身体も軽い!気持ちいいっ!」
空の上、まるで水中のように自由自在に身体が動き、楽しくなってくるりと回ると、十四松くんも真似して竜巻のようにぎゅるるんと回った。
「あっははー!楽しいねーー!!」
「トト子の次はコイツとか、アンタってブス専?」
「こーら!ヤキモチ焼かないのティンカーイチ!あと、余計なことも言っちゃダメだよ?」
どうやら妖精の名前も限りなくネ○ーランドの住人に近いようだ。
「ねぇ、十四松くん!」
「十四松パンだよ!」
ゆずれないこだわりがあるらしい。
「じ、十四松パン!一体どこに連れて行ってくれるの?」
「主ちゃんにとって、夢のような場所だよー!」
そう言うと、彼はわたしの手を引きながら、月に届くんじゃないかと思うくらい高く高く上昇した。
わたしは期待に胸を弾ませ、強く手を握り締める。
・・・