第25章 傷ついたキミの瞳に、青く小さな恋の果実を… カラ松
「あはははっ!ホント懐かないよねー!この間、旅行で一松くんに預けた時とは大違い!」
子猫はオレを引っ掻いておいて、悪びれる様子もなく、ピョンとソファーから降りていなくなってしまった。
「一松は特別だからな。あいつの猫心掌握術は人知を超えている」
「そうなの?でも、兄弟全員、何かしら他の人に比べて突出した個性があると思うよ?」
「マイデスティニーハニー!!」
「キャッ!?」
オレはたまらなくなり抱きしめた。
「オレを含め、ブラザー全員を褒めてくれるとは…!嬉しすぎる!!」
「ほ、褒めたっけ?まぁ、いいや。ね?カラ松くん…」
オレの腕の中で、急に主の雰囲気が豹変する。雌の芳香を漂わせ、オレを誘い込む強烈なフェロモンを放ち出した。
「どう…した?」
必死に理性を保つ。
「どうしたって…。カラ松くんこそ…」
「え…?」
「…わたしのこと気遣って我慢していたんでしょ?」
オレの胸元に手を添えるマイハニー。
「よ、よせ!ドンタッチミー!!」
「そう言いながら、抱きしめているのはカラ松くんなんだけど…」
「なにっ!?」
言葉と行動が伴っていなかった。
主はオレの腕に包まれ、上目遣いで見つめながらチョモランマの頂きを撫でてくる。