第25章 傷ついたキミの瞳に、青く小さな恋の果実を… カラ松
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「はぁーお腹いっぱい!」
「ああ、とてもうまかった!ごちそうさま!」
主の手料理はシンプルだがとてもうまい。素材の味を活かした味付けが絶妙なんだ。
今日のパスタはトマトとナスを和え、仕上げにバジルを乗せた主十八番のパスタだった。
ありふれた味付けかもしれないが、オレにとっては、彼女に出会わなければ出会うことのなかった味だ。
食べ終わり2人で皿を洗い終え、くつろぎのひとときが訪れる。
オレはソファーに座り、膝に子猫ちゃんを乗せた主を、そっと抱き寄せた。
「もう頭痛は何ともないのか?」
「うん。すっかり良くなったよ」
主が頭をすり寄せてくる。
不思議だな。
これといった喧嘩もなく、お前とはこうして甘く穏やかな時間ばかり過ごしている。
でも、分かってるんだ。
この時間は永遠ではない。
このまま、マミーより与えられし恵みに頼り切ったオレでは、いずれ限界が来るだろう。
そんなオレを、責めることなく寄り添うお前を…
いつか…自分の力で支えてあげられたら…。
なんて物思いに耽っていたら猫の爪が膝に飛んできた。
「いたぁーいっ!!??」
おい、子猫ちゃん?
なぜこのタイミングでまたひっ掻く?
シリアスなオレをそんなにも強制終了させたかったのか!?