第25章 傷ついたキミの瞳に、青く小さな恋の果実を… カラ松
横になると、目の前のテーブルに何かがゴトリと置かれた。瞬時に目を奪われる。
「わぁーー!ブルーベリーだ!!」
大きなサラダボウルに山盛りのブルーベリー。洗いたてなのかキラキラと雫を纏いオシャレをしている。
「お前の頭痛は、眼精疲労が原因だろう。ブルーベリーは目に良いと言うからな。つまんでみろ」
一粒口に放り込む。
甘酸っぱい味が広がり眠気が覚めてきた。
「美味しい!」
「ついでにこれも食べてくれ」
お皿を持ってカラ松くんがやってきた。
わたしの頭痛を気にしてしまったのか、エプロンを外している。
ついでに言うと、タンクトップと短パンはそのままである。
「わ、すごい。それカラ松くんが作ったの!?」
「ああ。愛さえあれば、不可能などない!こっちがブルーベリージャム!毎日の朝食に欠かせないジャム!!」
「う、うんうん!」
「そしてこれはブルーベリーマフィンッ!毎日のおやつに欠かせないマフィン!!うまそうだろ?」
いちいち説明くさいけれど、顔が少し赤いので、もしかしたら彼なりの照れ隠しだったのかもしれない。
「カラ松くん…」
「ほ、ほら。早く食べるんだ。沢山寝ていたからお腹が空いているはずだ」
わたしは頷いてソファーに座りなおすと、「いただきます」をわざと丁寧に言ってから、マフィンの端をかじった。
バターが香るマフィンに、甘酸っぱいブルーベリーが絶妙なバランスで口の中を満たす。
「んー!おいしいよ!!甘すぎず爽やか!!」
「そうか!よかった!またオレの新たな一面を見せてしまったな」
スッとミルクの入ったコップが目の前に置かれた。
「ありがとう。わたし、カラ松くんの彼女でシアワセ!」
「……あ、あぁ!」
初めての手料理を褒められたせいか、頬がポッと赤らんでいる。
「ところで、このブルーベリーって、まさか…」
「もちろん、ピックバイ…オレ!!」
英語の文法メチャクチャな気がするけれど、要するに自分で摘んできたらしい…。
「どこまで!?」
「どこまでって、朝一のブルーベリー農園だが?」
あっけらかんと答えるけど、近所にブルーベリー農園はない。
わざわざ遠出して摘みに行ってくれたらしい。