第24章 ※青りんごサワー チョロ松
おそ松視点
店を出て主ちゃんと二人で家に向かう。
いや、三人だった。
背中のコイツは、せっかく彼女が横にいるってのに起きる気配ナシ。
(油断してるとおにーちゃんが奪っちゃうよー?なんてな)
不穏な空気を察知したのか、チョロ松は一瞬だけ唸ってまたすぐ寝ついた。
「おそ松くん、お店出る時飴もらったんだけど、何味食べたい?」
小さな手のひらに飴玉みっつ。
りんご、オレンジ、青りんご。
「主ちゃん先に選んでよ。俺、女の子には優しいからさ〜」
「じゃあ青りんご貰おうかな」
(青りんご…ね。弟よ、このまま目を覚まさないで欲しいほど愛されてるね〜)
「じゃ、俺はオレンジ」
チョロ松が寝てるのを良いことに口を開けてあーんをねだる。主ちゃんは、はにかんで俺の口の中に飴を転がした。
ざまーみろと心の中で毒突くと、またもやチョロ松はうなされている。
「彼女の前で酔い潰れるとか、コイツまたダセーことやらかして。でも憎めないんだよなぁ」
「はい。なんて言うか、ほっとけないんです。応援したくなっちゃう」
「ちょっと扱いが難しくてさ。六つ子の三男だからね〜。間に挟まれると、俺には分からない苦労でもあんのかなぁ?コイツと一松は方向性が内と外で違うけど、ちょっと似てるとこあるっつーかさ」
「うーん…難しいです」
ま、そりゃそうだ。
兄弟のことなら、主ちゃんより俺の方が年季が入ってるからな。
なんで自分が長男なんだろって思うことはたくさんあるけど、弟達は弟達で悩みとかあんのかもしんない。
チョロ松の性癖は知らねーけど。
あーなんか、そういうこと思い出してきたらイライラしてきた。
「ったく、なんでコイツが…」
「え?」
「あぁ、何でもないよ〜」
俺ははぐらかすように口笛を吹く。