第24章 ※青りんごサワー チョロ松
「チョロ松くんって…」
「ん?」
今度は主ちゃんから話しかけてきた。
恋愛相談?長男に乗り換え?ならいつでも乗ってもらっていいけど。
「わたしのこと、大事にしすぎだと思うんです」
思わず吹き出した。
「なんだよのろけぇ?そりゃ童貞を捧げた相手は大事にするって」
「え?い、いえ、そうじゃなくて…。わたしをアイドルって言ったりして、立場を上にするというか…わたしは、そんなつもりなくて同じ目線でいるのになぁって」
「うわぁ腹立つー」
心の声がモロに出てしまった。
「ゴメンなさい…」
「いやいや、彼女がイイ子でコイツにイラッとしたって話」
頭に"?"が浮かんでいる。
飾り気が無く、素直で、ライジングにはもったいないイイ女だってのは俺の心の中に留めておく。
「うーん。まぁさ、しばらくはコイツのアイドルになっててやってくんない?」
俺は立ち止まり、軽くジャンプしておんぶの体勢を立て直した。
涎垂らしたアホ面の弟は、揺さぶっても全然起きやしない。
つーか寝ながら俺にフォローさせんじゃねぇ!
「しばらく…アイドルに…?」
「うん。今はまだ恋だなんだの憧れの延長線上かもしんないけど、そのうちコイツにも責任感が芽生えると思うわけよ。追っかけるだけじゃなくて…なんつーんだろーな。いや、ダメだ、俺経験ないからよくわかんねー!この話はもうおしまいっ!」
「…おそ松くん、ありがとう」
「じゃあお礼にチューしてもらおっかなー」
俺が悪ノリするとまたチョロ松が呻いた。
主ちゃんは、笑うかと思ったけど、その表情は真剣だった。
「おそ松くん…で…よかった」
「ん?」
「あのね…おそ松くん、わたしね」
主ちゃんがうるうるした瞳で俺を見つめている。