第23章 ぶどうって… 一松
(もう、どうにでもなれだ)
ナマのまま一気に奥まで挿入すると、主は苦しそうに顔を歪ませた。
「ぅ…あ…ああっ!」
(なんだよ…。付き合ってんのに、まるでおれがレイプしてるみたいだ…)
両手を主の指に絡ませ身動きを取れなくする。
おれの中に芽生えた罪悪感を無視して、腰は快感を求めスピードを上げていく。
すると突然、主は口を開いた。
「イイよ…もっと、いじめて…」
「は?」
おれの心まで見透かすような、澄んだ瞳が見つめてきた。
「一松くんの不安とか寂しさが…わたしを傷つけることで無くなるなら…心が満たされるのなら…。もっともっと、傷つけて…!」
「っ!!」
思いがけない言葉に腰の律動が止まる。
「オマエ…バカ?どこにそんな、都合のいい自己犠牲野郎がいるんだよ!!もっと…自分の事大切に……って!?」
(な、なんで襲っていたおれがいつの間にか主を庇う形になってんのー!?)
「一松くん…優しいね」
「や、優しくなんかないだろっ!?今までオマエ、おれに何されたと」
「わたしね、一松くんのこと…」
「!!」
首に腕が絡みついたかと思うと、ふわりと口づけられた。
「愛してる」
「……」
(今…のって……)
「だから…もう、怖がらないで」
「主…お、おれは…」
「一松くんは、ひとりぼっちなんかじゃない」
主の黒い瞳がどこまでも優しくおれを見つめ、白くて細い指が頬を包んだ。