第22章 寝起きにレモンフレーバー 十四松
「あのね、ぼくわかったんだー!」
「何が分かったの?」
十四松くんがカーテンを開けると、陽の光が部屋を朝色に染める。
熱気のこもった室内を換気し、未だ起きない五人を横目に、二人で布団を畳む。
「主ちゃんってね、いつも優しい匂いなのにね、チューすると甘酸っぱい香りになるんだー!」
「そう…なんだ?」
「うん。それでね、この前レモンスカッシュ飲んだ時ね、主ちゃんとチューした時の甘酸っぱさと似てたーー!!」
えへへと照れ笑いをしながら、わたしの唇に人差し指でつんと触れた。
「ね、知ってる?ファーストキスはレモン味って古いことば…」
「知らないぜっ!!」
「きっとね、わたし…」
ちゅ、と触れるだけのキスをする。
「これからもずっと、十四松くんとキスするたびに…初恋に戻っちゃうのかもね!」
「……」
(あ、あれ?)
にっこり笑ってくれるかと思いきや、黙りこくってしまった。
布団をクルクルと丸めていた手が止まっている。
「どうしたの?」
「主ちゃん…」
「なあに?」
「これからも…ずっと、ずっとずっとぼくと一緒にいてね!!やくそくーー!!」
十四松くんは、朝日を背に頬を赤らめながら、素敵な言葉をプレゼントしてくれた。
朝から十四松くんの愛情をたっぷり受け取り、身も心も彼でいっぱいである。
・・・