第19章 ショタごっこin松野家 十四松
トド松視点
あたたかく愉快なおもてなし??
主ちゃんは何も知らない。気づいていない。
この、穏やかな団欒風景の水面下で、ボク達六つ子が下心と恐怖の間で戦っていることを…。
「んじゃ、食い終わったから銭湯行くかー」
おそ松兄さんが立ち上がった。
「えーと、主さんも…銭湯行くよね?」
——ピクッ
チョロ松兄さんが主ちゃんを銭湯に誘っただけなのに、十四松兄さんの目つきが変わった。
(いやいやいや、これはセーフでしょっ!?混浴じゃないんだから!ってか何なのその中身のない笑顔ー!?)
「いえ、わたしはお風呂沸かしてくれたみたいなので、お家で入りますね」
「じゃあぼくも今日は銭湯行くのやめ」
「はぁぁぁあーー!!??」
五人全員、阿吽の呼吸でドスを効かせる。
「いやだよ!ボク、十四松兄さんいないと寂しい!」
(一人だけ抜け駆けしてお風呂でイチャラブセックスなんてぜっってーさせねーからな!?)
「十四松くん、皆で行ってきなよ?わたし家で待っているからさ!」
「うんわかったー!」
主ちゃんの言うことは素直に聞くんだね十四松兄さん。
「じゃ、お前ら先に行っててくれる?俺は主ちゃんにシャワーの使い方とかイスの座り方、のぼせない風呂の入り方教えてから行くからさー。はいこっちおいでー」
「え?あ、あの…?」
おそ松兄さんが主ちゃんの腕を掴む。
——ビクンッ
(チョロ松にーさーーん!?ヤバいよっ!十四松兄さんの目が完全に殺る目つきだよぉぉぉ!!??)
(あのバカ!堂々と前面にゲス出しやがって!!下手なことしたら俺ら全員皆殺しなのにっ!!)
「おそ松…彼女だって大人なんだからそれくらい分かる。余計な事をするな」
珍しくカラ松兄さんがナイスアシストをした。
そうだよね。
みんな、死にたくないよね…。
「おい…早く行かねーと、銭湯閉まる」
うん、一松兄さんのその絶妙なタイミングで話を進めるの、ボク嫌いじゃないよ!
「じ、じゃあ主ちゃん!ボク達銭湯行ってくるから、帰ってきたらトランプしようねー!」
「うん!いってらっしゃーい!」
ゲス松兄さんの腕を引っ張りながら、ボク達は銭湯へ向かった。