第18章 お医者さんごっこ 一松
一松視点
主がおれのわきの下にヒンヤリと冷たい体温計を挟み、動かないようにと腕を掴んでいる。
1分ほど待つと、ピピピと電子音が鳴った。
「37.8度…思ったより高熱じゃなかったけれど、悪化したら大変だからベッドで横になった方がいいね」
動物園が楽しみだったから、ちょっといじけてみせる。
「…もうおれは長くない…。このまま死ぬならゴミはゴミらしく——燃えないゴミの日に棄てられたい…」
「はいはい、こっちに来なさい」
「いててて…!」
腕を強引に掴まれながら、ベッドに強制収容されてしまった。病人相手なのに扱いが雑だ。
「ちょっと待っててね」
そう言い残して、主は寝室からいなくなる。
・・・
(…何してんだろ?)
10分ほど経ったがまだ戻ってこない。
(もう、ちょっと待ったんだけど…)
なんてふてくされていたら、ドアが開いた。
主は冷えビタとおじや、ボカリが乗ったお盆を持っている。
「……」
「はい、まずはこれをおでこに貼りますねー。動かないでくださーい」
「……」
ピタッ
冷えビタを貼られ額がヒンヤリとすると、少しだけ頭がスッキリした。
(てかその敬語なに?医者にでもなったつもり?)
ヤバい…。
風邪にも関わらず、下半身がちょっと反応してきてる…。