第12章 ※チョロ松の台本 ライジング編
「はいカット。トド松、そういうのやめてくれる?印刷代いくらしたと思ってんの?はいこれ新しいの」
「あんのかよっ!」
「こんな事もあろうかと百部刷ったから」
「部数多っ!?」
再び台本を渡され、思わず力んでまた破きかけるもなんとかこらえる。
呆れ顔のおそ松兄さんは、大袈裟にため息をついてから口を開いた。
「ちょっとちょっと、こんなんに金かけるならエロ本でも買えよー。人の借りてるくせに」
「毎日パチンコと競馬でスってるお前にだけは言われたくないっ!」
「しっかし、徹底してんなー。ライジングが止まらなすぎて何も言えねぇ」
「ありがとう!」
何故か喜ぶライジングに、すかさずボクはツッコミを入れる。
「褒めてないからっ!おそ松兄さんは怒りを通り越して呆れてんの!」
「えぇ?どーゆー意味?」
「ま、言っても分からねーだろーからとりあえずいっぺん死ね!!」
おそ松兄さんは吐き捨てるようにそう言った。
もうやだこの三男。
この間の失敗(原作十九話)がまるで活かされてねーし!
プライドなんてものはみんな持っているものだし、高いことは別に悪いことじゃないよ?
だけど、クソな自分を認めつつ、理想と現実の折り合いをつけないといけないの!
それなのにこのライジングは、理想ばっかり追い求めて自分というものが全く見えてない!
ボクはさ、可愛くて兄弟で一番マトモだけど、同世代カーストでは圧倒的最底辺にいるのをちゃんと自覚してるからね。
分をわきまえつつ、調子乗るときは調子乗って、失敗しちゃっても尻拭いをさせるのは兄さんたちとか家族だけで、他人様には迷惑かけないから。
そこら辺冷静なあたりホントにマトモでしょ?
「なんだよ死ねって。…よく分からないけど、じゃあ次!主ちゃんと話そうそのニ、質疑応答編スタート!」
(もう…このバカは…)
みんなの不安をよそに、恐怖のリハーサルは続く。