第12章 ※チョロ松の台本 ライジング編
◯月×日 晴れ
今日は、主ちゃんを兄弟に初めて紹介する日である。
初デートで既にみんなと顔を合わせてはいたけれど、改めてちゃんと挨拶をしたいと言っていたので、これからウチに遊びに来ることになったんだ。
約束の時間までまだ一時間ある。
それまでに、僕は己の追い求めるヴィジョンの実現に向け、大切な使命を果たさなければならない。
「はいみんな台本開いてー、それじゃあリハーサル始めますよー」
台本を兄弟に渡し、気合を入れるため鉢巻をしめる。
と、ダルそうにおそ松兄さんが台本の表紙を眺めて一言。
「なにコレ?駅とかによくあるフリーペーパーじゃん」
相変わらずバカだな。まず中身を確認しろよ。
まぁ、不機嫌にさせると後々面倒だからここは我慢だ。
「表紙は僕こだわりのフェイクです。中を開いて!」
みんな、しぶしぶ表紙をめくる。
「主ちゃんと話そう、その一、自己紹介編…?こ、これ何っ…!?」
「いい質問だねトド松くん。きたる一時間後、主ちゃんがキミたちに会いにわざわざウチまで来てくれることになりました。そこで、キミたちにはこの台本通りに彼女と会話をしてもらい、完璧な兄弟像を演じてもらいます」
「おそ松兄さんっ!ボクこわいっ!こわいよーっ!!」
「出たーー!!上辺だけ取り繕って、中身スッカスカのライジング!!」
おそ松兄さんとトド松が、なぜか肩を抱き合い震えている。