第11章 十四松の笑顔
「もしかして、今日のコンサート聴きに来てくれてたの!?」
「うん!!兄さん達がチケット買ってくれたんだー!!驚かせようと思ってナイショにしてたー!!」
ほんのり頬を赤く染めながら、十四松くんは一輪のひまわりをわたしにそっと渡してくれた。
「嬉しい…わざわざ来てくれたなんて。ひまわりも——ど、どこから引っこ抜いてきたのか気になるけどありがとう!今日のプログラム、難しい曲で退屈しなかった?」
「うん…生と死を壮大なスケールで描いた作品だね。終盤の復活の主題が力強く崇高な響きで織りなしていったクライマックスは、全てが昇華されていくようでとっても圧巻だったよ!」
(なんか深くてそれっぽいこと言ってるーー!!??)
さすがは十四松くん…。彼はもしかしたら、宇宙意志と交信しているのかもしれない…。
「今日はお仕事もうないのー?」
「うんっ!どっかでごはん食べて帰ろうか?」
「やったぁーー!!!じゃあぼくね、ラーメン!!」
「ラーメン?いいよっ!ラーメン激戦区行っちゃおう!!」
十四松くんがわたしのトランペットをさりげなく持ち、手を繋いできた。
いつの間にか、かわいいだけでなく男らしくなった彼に、胸の鼓動が収まることはなかった。
・・・