第11章 十四松の笑顔
「〇〇交響楽団定期演奏会?十四松の彼女の楽団だろ?」
「公演スケジュールこんなにビッシリ!十四松兄さん、彼女が忙しくて全然デート出来てないんじゃない?」
「あー、なるほどな。これじゃあ日中は会えねーよ。アイツの性格上、夜に女の家泊まって朝帰りとかしなそうだし。っつーか朝帰りしたらぶっ殺すし」
「うん、それは死んでほしい……じゃなくて!」
トド松は、チケット購入の料金表を眺めている。
「4000円かぁ…。ねぇねぇ、演奏会のチケット買ってあげたら元気になるんじゃないかなー?」
「ちょっとたけーけど奮発するかっ!兄思いだね〜トド松くんっ」
「えへへっ。上手くいけば、演奏家のお姉さん達と仲良くなれるかもだしねっ」
「おっ!いいねー!!じゃあさ、六人全員楽器女子と付き合って、夜の大演奏会やっちゃうー?」
「どうしてそんなステキな事しか言えないの!?まじ長男カッコよすぎー!!」
しばし、二人で床に転がり大爆笑…。
夢を見るならとことんでっかく、とことんゲスに。
たぶん十五分くらいは横隔膜を震わせた。
「あー…笑ったねぇ」
「笑った笑った…。じゃ、トッティ」
俺はトッティにアイコンタクトを送る。
「十四松のサイフ、持ってきて」
「オッケー」
俺たちの思いはただ一つ。
十四松の笑顔を取り戻したかったんだ…。
・・・