• テキストサイズ

おそ松さん〜ニート達の裏模様〜

第78章 ※おまけ ありがとうを君に


長男の場合



仕事後、一人チビ太のおでんを肴に酒を飲んでいた。


「カーーッ!やっぱり仕事の後のビールは最高だなっ!」

「ケケッ、オメーの口からそんな台詞が聞ける日が来るとはなぁ!」


チビ太は笑いながらおでん鍋につゆをドボドボと追加している。


「しっかし、今日はバレンタインだぞ。主ちゃんに会わなくていいのかよ?」

「えーー?VRカノジョ〜?シコ松じゃねーんだから」

「どこをどうすりゃそんな聞き間違いすんだバーロー」


あーなんか楽し〜。
仕事で疲れた後の酒ってこんなにうまいのかー。


「おい!オイラの話聞いてんのか?」

「なーにー?ねぇビールちょーだーい」


空のグラスを振ると、チビ太はワザとらしくはぁーあと溜息を吐いた。


「チビ太くぅーん、溜息吐くと幸せが逃げちゃうよ〜?」

「るせーバーローチキショー!主ちゃんの代わりにオイラが溜息吐いてんだ!」

「はぁー?なに言ってんのかよく分かりましぇーん」

「フン、聖なる愛の天使が働き回ってるというのに、お前というヤツは」

「はー?」


暖簾をくぐり、俺の隣にイタリーマンが腰掛けた。
決してイタリア男ではない。
イタイサラリーマンの略だ。


「らっしゃい!」

「チビ太、オレにもビールを」


なーにかっこつけてんだか。


「…お前はすぐ酔うんだから、水にしとけ」

「いいだろ別に。久々にこうして会えたんだ。共に盃を交わそうじゃないか」


肩にかけたバッグを椅子に置いて、カラリーマンはフッと口角を上げた。


「家を出てから、こうしてここで飲むのは初めてだな。おそ松」

「そうねー」


ビールの泡を眺めてると、横からグラスをコツンとぶつけてきた。


「…主は元気か?」

「元気よ〜怒りっぽいけど〜」


チビ太は腕を組んで俺らの話に耳を傾けている。
久々の兄弟水入らずを邪魔しないのが、なんかチビ太っぽいっちゃぽい。


「おそ松が怒らせるようなことをしてるからだろう?」

「んふふー、分かるぅ?怒った顔がたまんねーんだよな〜」

「悪趣味だな」


やれやれと言った感じで首を横に振り、おでんの串にかぶりついている。
それにしても、くたびれたスーツ着ちゃって。
コイツも苦労してんだな。



/ 1118ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp