第78章 ※おまけ ありがとうを君に
久々に家へ帰ると、ブラザー達はオレをそっちのけで主ばかり歓迎していた。
フッ、いいんだ。
普段レディと話す機会の無いブラザー達だ。
大いに主との会話を楽しめばいい。
言うなればオレはブラザー達の帰る空母。
沢山はしゃぎ、飛び回った後、オレのララバイで眠らせてやろ——
「じゃあカラ松だけ帰っていーよー」
「なんでっ!?」
何てことを言うんだおそ松!
ロンリネスすぎるだろ!?
「おそ松くんごめんね。わたし達明日も仕事だから、今日はそんな長居出来ないんだ」
「うわぁ、主ちゃん抉るねぇ。今のは俺大分傷ついちゃった〜」
「仕方ないよ…僕達無職童貞だから…」
「ボクは五人のクソ共の邪魔さえ入らなきゃ、バイト続けてたけどね…」
主の言葉に打ちひしがれるブラザー達。
一松は終始無言。
一方十四松は空気が読めないのか場を和ませようとしてるのかは分からないが、1人笑顔で手をパタパタさせている。
主はそんな十四松の手を取り、手のひらに愛らしい箱を置いた。
「長居は出来ないけれど、バレンタインチョコを持ってきたんだ。はい十四松くん」
「マジすか!!チョコだチョコだチョコだチョコだチョコだチョコだチョコ」
「十四松、よーしよしよしよし」
喜びが許容量を超え暴走を始めた十四松を、一松が宥めてくれた。
「はい、一松くんには猫のラッピング」
「ひぃぃっ!!」
チョコを受け取ると、一松は何故か瞬時に猫になり、毛を逆立てながら慌てて部屋の隅に逃げた。
主…シャイボーイ一松はセンシティブに扱えと何度言ったら…。
「わーいボクはピンクのハートだー!」
「主ちゃーん俺俺俺もーー!」
「おいっ押すなバカ!今僕がもらってあぁっ!踏んじゃったよおぉぉお!?」
全く…大人気ないブラザー達だ。
だがオレは密かにホッとしていた。
(よかった…オレへの愛がナンバーワン!)
ブラザー達の誰よりも、オレが貰ったチョコが立派だった。
…なんて、幼稚なことを考えるオレが一番大人気ないな。
博愛主義なお前は、時々オレを不安にさせるが、構わないさ。
魂の修行と受け取ろう。
出会えたことをゴッドに感謝しないとな。
愛してるぜ…主!
次男の場合 fin