第78章 ※おまけ ありがとうを君に
ステーキを口に入れ、んーっと唸っている。
「いつもの味付けと違うな?コクがあるというかなんというか」
ふぅむと顎に手を当て考え込んでいる彼に種明かし。
「バレンタインだから、ビターチョコをソースに混ぜてみたの」
「そんなマリアージュがっ!?」
「え?まり何?」
「フフーン、エクセレーンツ!美味すぎるっ!」
よく分からないけれど、褒め殺す勢いで絶賛してくれたので、ステーキは大成功だった。
その後、二人で他愛のない話をしながら夕飯を済ませ、食べ終わったのを見計らいチョコを渡す。
「ハ、ハニー…オレは…いいのか?オレはお前に愛される資格があるのか?」
「急に何?ってゆーかこっちまで恥ずかしくなるからそんな奇妙な喜び方しないで」
チョコをあげただけなのに、ワナワナ震えながら目に涙を浮かべている。
「オレってヤツは…親愛なるブラザー達を差し置いてこんなに幸福でいいのか…?」
悩ましげな表情をしながらチョコに話しかけている。
(まぁ、喜んでくれてよかった……って、あれ?ブラザー…?)
すっかり忘れていた。
「そうだ!おそ松くん達にも買っておいたんだ!」
「…え?」
「今から2人で渡しに行かない?」
「あ、あぁ、いいだろう!きっと喜ぶ!」
急な話だったのに、二つ返事でOKしてくれた。
カラ松くんって不思議な発言が多いけれど、お人好しなくらい優しいし包容力がある。
そんな彼にわたしはいつも甘えている。
「ありがとう、カラ松くん」
「んー?礼を言うのはオレの方だ。豪華なディナーにラグジュアリーなチョコまで貰ってしまったからな。さぁ、支度をするぞ」
「うんっ」
手分けして皿洗いを済ませると、わたし達はコートに身を包み家を出た。