第78章 ※おまけ ありがとうを君に
お弁当は愛らしいサンドイッチ。
二人で海を眺めながら昼食を取り、食べ終わった後は公園を散歩した。
夕方には縦浜の繁華街へ行きショッピング。
悪いからいいと断る彼女に無理やりブランドバッグをプレゼントし、金にものを言わせバカ高いディナーをご馳走した。
「はー楽しかったぁ」
車の助手席でデートの余韻に浸る主。
横目でシートに背中を預けるキミを盗み見つつ、夜景の綺麗な道を選び、僕は車を走らせる。
「楽しんでくれて何よりだよ」
「うん!夢見てるみたいだった」
「当然でしょ?お姫様を楽しませるのが僕の務めなんだから」
「もう…そんなこと言われたの初めて」
プレゼントしたバッグをキュッと握りしめ、照れくさそうに俯いている。
完璧だ。
夢小説ってさ、本来こうあるべきでしょ?
夢を見させてやらなくてどうするんだい?
そこら辺、今度松野と飲んだ時説教してやらないと。
そこでふと思いついた。
「そうだ。主に紹介したい奴がいるんだ」
「友達?」
「あぁ。キミより女子力が高くて抜け目ない奴」
「えっと…女の子?」
僕は女性に「奴」なんて使った試しがないんだけどね。
「それはね、会ってからのお楽しみ」
「ふーん…」
口を尖らせいじけている主の髪を、片手でそっと撫でてやる。
そんな顔しないでくれないかな。
君の反応が可愛くて愛しくて…ついつい意地悪したくなってしまうじゃないか。