第77章 ※ひたすら遊んで暮らしてぇ! 長男END
「おそ松くん!お邪魔してます!」
「おう」
主ちゃんは空き缶を片付ける手を止め、ニッコリ微笑んだ。
「フッ、ブラザー!来てやったぜ!」
「んなの玄関見れば分かるから」
照れ隠しでワザと素っ気なくする。
「たまたま全員明日休みだったから、こうしてお前を待ってたんだ。さぁお前も飲め」
スーツ姿でグラスを渡してきたのはカラ松。
どうやら無事に就職して、今は事務員として働いているらしい。
部屋の隅っこでチビチビ舐めるようにビールを飲んでるのは一松。
兄弟一コミュ症なコイツが猫カフェでバイトとか、考えただけで涙出ちゃう。
「一松〜おにーちゃんにビール注いでー」
グラスを振りながら一松を手招きする。
「…な、なんでおれが」
と言いつつも、俺の隣にきてお酌する可愛いヤツ。
「おそ松にーさーーんかんぱーーい!!」
「あぁ、かんぱい」
俺の顔に唾飛ばすほど大声ではしゃぐのは十四松。
テンション高いねー、期待裏切んないねー。
最近怪我もしてないし、工場勤めも大分板についてきたんじゃない?
暴れる十四松を避けながら、つまみを持ったトド松がオレの隣に座った。一松の反対側だ。
「おそ松兄さんお疲れさまー。うわっ、くっさ。汗と加齢臭と野郎臭と得体の知れない何かが混ざった匂いで鼻が曲がる」
「つれないこと言うなよトッティ〜」
「わーーくさっ!くさいっ!離せよオッさん!!包み込むように抱きしめないで!?」
じたばた腕の中で暴れるトド松にニシシと笑いかけると、主ちゃんに助けを求めて手を伸ばしている。
トド松は確か…近所のケーキ屋でバイトを始めたんだっけな。いちいち選ぶ仕事まで女子っぽい。
「トッティ、彼女とはいえ、そんな臭いヤツに主ちゃんを近づけたらかわいそうだよ」
そう言いながら、主ちゃんの片付けを手伝っているのは——
「でも、元気そうだね。おそ松兄さん」
照れくさそうに、への字口を歪ませ微笑むチョロ松。