第77章 ※ひたすら遊んで暮らしてぇ! 長男END
おそ松視点
翌朝、主ちゃんは仕事で朝早く帰って行った。
またひとりぼっちになった俺は、なんとなく、本当になんとなくだけど、チョロ松が置いてった資格の本をペラペラめくったり、おもひでアルバムの封印を解いてぼーっと眺めたりして過ごした。
少しだけ前進。
何もしねーでゴロゴロしてた時よりはマシになっただろ?
そうしてまた一日が終わって。
——次の日…俺は、赤塚先生の写真の前、一人座っていた。
時計の秒針が虚しく部屋に響く。
時間は立ち止まってなんかくれなくて、ただひたすら流れる。
弟達がそれぞれの道を歩んで行く。
父さんと母さんはいつの間にか顔のシワと白髪が増えた。
トト子ちゃんは婚活や留学にチャレンジして、結果はどうであれ前に進もうと足掻いている。
イヤミは昭和の輝かしい栄光をいつまでも引きずり、ダメな大人の代表へ。正直ああはなりたくない。
チビ太はガキの頃から大好きだったおでんの屋台を開いて、クソ美味いおでんを作って。
ハタ坊はフラッグコーポレーションの代表取締役として、立派な金ヅル坊へと変貌を遂げた。
そうやってみんな、時間と共に変化して何かを探し、見つけて…。
変わんねーのは、ニートな俺と写真に残された赤塚先生の笑顔。
あとは…バカみたいに俺を見守り待ってくれてる主ちゃんの真っ直ぐな優しさ。
あんないい女と付き合ってんのに、何やってんだ、俺。
こんな時間もう終わらせて、あいつを安心させないと。
赤塚先生。
笑い飛ばしてください。
俺の人生ギャグだって。
女を泣かせてようやく気づくとか、どうしようもない奴だなって。
——ガラッ
突然開く襖。
「おそ松」
落ち着いた、それでいて芯のある母さんの声。
「手紙が来てる」
手紙?
今時不幸の手紙なんて流行らねーし。
…誰だ?
振り返ると、あったかくてどこか懐かしい、母さんの笑顔がそこにはあった。