第77章 ※ひたすら遊んで暮らしてぇ! 長男END
「俺が健やかなる時もクソダサい時も、ずっと一緒にいろよ」
「そっちこそ」
「孤独死させんなよ」
「そっちこそ」
「ひたすら遊ばせろよ」
「それはダメ」
「ちぇー、ひっかかんなかったかぁ〜」
ふざけあっていると、おそ松くんがふと満月を見て、思い出したように呟いた。
「あいつら元気かな…。今頃何やってんだろ?お兄ちゃんが恋しくなってオナニーでもしてっかな?」
「してないと思います」
その答えを知るのは、わたしたちを見守るあの満月だけ。
夜空から照らす青白い光だけ。
わたしも空を見上げると、腕を解き肩を抱かれた。
「なぁ、聞いてよ。珍しくガキの頃を思い出しててさ——」
月明かりの下、おそ松くんは兄弟の思い出話を沢山話してくれた。
ところどころ下ネタを交え、ふざけながら話すのは、きっと彼なりの照れ隠し。
「——そんなこんなの紆余曲折を経て、あいつらは独り立ちしましたとさ」
「じゃあ今度はアンカーのおそ松くんが全力疾走しないとね!」
「あー…そうね。お前意外と例え上手いな。ったく、一人でムキになって落ち込んでバカみてぇ。俺には主ちゃんがいたのに」
「ホントバカだよ。知ってたけど」
微塵も否定せずうんうんと頷くと、「ちょっとは否定して」と言いながら困ったように笑っている。
「さみぃしそろそろ下戻るか?」
「うん」
手を引かれ部屋へ戻り、ソファーの上。
わたし達は毛布にくるまる。
「おやすみ、主ちゃん」
「おやすみ、おそ松くん」
そして、凍えた身体を抱きしめ合って眠りについた。
・・・