第77章 ※ひたすら遊んで暮らしてぇ! 長男END
主人公視点
七個買ったシュークリームは、松野家に着いた時には五個に減っていた。
一つはカラ松くんに。
もう一つは、電柱に隠れながら松野家を見ていたトド松くんに。
ここへ着くまで、三人の弟くんに会った。
さよならの時に言う言葉はみんな同じ。
—おそ松兄さんをよろしく—
みんな、家を出て大変な思いをしているのに、自分よりもおそ松くんを気にかけていた。
少し妬いちゃうくらい羨ましかった。
なんて素敵な兄弟なんだろう、わたしも一人っ子じゃなくこんな兄妹がいたらよかったな…って。
突然の訪問を、お義父さんとお義母さんは笑顔で歓迎してくれた。
中途半端な数になったシュークリームの理由を言い訳っぽく伝えても、「あらあの子達ラッキーね」なんてケラケラ笑ってくれた。
そのまま居間で待つよう言われ、気づけば目の前には揚げたての豚カツが。
「せっかく来てくれたんだから、ご飯食べてって」
「ありがとうございます!」
こうして、突然お邪魔した上に夕飯までご馳走になってしまった。
夜になり、ようやく下へ降りてきたおそ松くんは、少しだけ痩せていた。
挨拶しても無視。
何回見ても、目すら合わせてくれない。
心を閉ざしている彼に、声をかけられず時間だけが過ぎて行く。
そして、おそ松くんは一番遅く来たのに、誰よりも早く夕飯を済ませ二階へ上がって行った。
・・・