第77章 ※ひたすら遊んで暮らしてぇ! 長男END
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くだらねーこと考え込んでたら、いつの間にか夕方になっていた。
俺のパーカーとお揃いの、真っ赤な夕焼け雲。
一日が、長いのに短い。
空っぽな時間が無駄に過ぎるだけ。
主ちゃんは確か今日休みだよな。
ダチと出かけてたりすんのかな。
…まぁ、今の俺には関係ねーけど。
なんて、懲りずにまたくだらねーこと考えてたら、聞き馴染みのある甲高い声が聞こえてきた。
「ねーーっ!おそ松くーーんっ!!」
トト子ちゃん。
確か、語学留学でインドだかジャカルタ行ってなかったっけ?
いつの間に帰って来たんだろ。
「デートしなーい?なんかパーっと遊びたい気分なのよねーわたしーっ!」
なんだよ…急に。
俺から誘ったって、一度もデートしてくんなかったじゃん。
ワザとらしく明るい声で、アイドル辞めたとか留学先のシンガポールから帰ってきたとか言っている。
…インドでもジャカルタでもなかった。
別にどこでもいーけどさ。
——トト子ちゃんも、俺と同じで変われねーのか。
俺は返事をせず立ち上がり、トト子ちゃんに背を向け屋根を降りた。
消える声。
沈む夕日。
閉ざす心。
ごめんな、トト子ちゃん。
俺のことはほっといてくれ。
共感なんかいらない。
慰めなんかもっといらない。
余計惨めになるんだ。
ごめん。