第77章 ※ひたすら遊んで暮らしてぇ! 長男END
(——おそ松くん、きっと今、ひとりぼっちで戦ってる。消化しきれない自分の複雑な感情と向き合ってるんだ)
そんな彼を心に思い描くだけで、胸の奥がツーンと痛くなった。
痛みから逃れようと、唇をキュッと噛みしめる。
「言うのは照れくさいが…その、アレだ——おそ松は、バカでどうしようもない奴だが、オレたち弟にとって、誰よりも理解者で誰よりも頼れる兄貴だ」
「うん…」
「本当はあいつだって分かってるんだ。こんな生活、いつかは終わりが来るんだって」
カラ松くんは、思い詰めた表情で右手を見つめている。
指の跡が付くほど硬く握りしめられた彼の右手には、一体どれほどの想いが込められているのだろう。
「オレが、次男として出来ることはもうやり尽くした。だから——」
そう言うと、椅子に座ったまま両膝に手をつき、土下座するみたいに深く頭を下げてきた。
「頼む主!あいつを支えてやってくれ!」
「ど、どうしたの!?顔上げて!」
「オレたち六つ子のため…いや、オレのために、あいつを救って欲しい!今、あいつの側にいてやれるのは、恋人である君だけなんだ!」
「カラ松くん……」
顔を上げ、向けられた真っ直ぐな瞳は、わたしの心を奮い立たせた。
彼の右手にそっと触れて…
「わたし、おそ松くんと話してくる。絶対元気にさせるから」
「主…すまない。ありがとう」
「こっちこそ、話してくれて本当にありがとう」
小指を絡ませ、指切りをした。
・・・