第77章 ※ひたすら遊んで暮らしてぇ! 長男END
「いらっしゃいませー」
二人で近場のケーキ屋に入ると、笑顔がはじける可愛らしい店員さんが出迎えてくれた。
ここのケーキ屋は喫茶スペースがあって時々利用してるんだけど、ゆったりとした空間にジャズアレンジの洋楽がかかっていて、落ち着いて過ごせるのでわたしのお気に入りだ。
コーヒーを二つ注文し、カラ松くんとカウンター席に座る。
「カラ松くん、話って?」
「あぁ、実はな」
カラ松くんはわたしに、みんなの現状を包み隠さず話してくれた。
就職が決まり、チョロ松くんが家を出たこと。
それがキッカケで次々に兄弟が出て行き、今家に残ったのはおそ松くん一人だってこと。
…おそ松くんが塞ぎ込んでしまったこと。
「おそ松くん…寂しかったんだね」
「きっと、頭では分かっていても心が納得しないんだろう。長男であるあいつは、六人の中で誰よりも葛藤があるのかもしれない…」
おそ松くんとの会話を思い返せば、あの笑顔がすぐ頭に浮かんだ。
わたしが泣いたり落ち込んでいると、笑いながらいつも言ってくれた。
俺がついてるから大丈夫。元気出せって。
カリスマレジェンドな長男様が彼氏なんだからって…。