第76章 さよならなんかじゃない おそ松
「この後、早速ドライブしちゃうー?弟達も乗せてさ」
「うんっ、楽しみ」
「んじゃ、可愛い俺のムスコをまずはおとなしくさせないとな」
「えっ!?ち、ちょっと待って!?」
ゆっくり腰の律動を再開すると、戸惑ってたくせにすぐ女の顔に豹変する。
相変わらず俺を翻弄するカリスマレジェンド彼女主ちゃん。
繋がりながら、背中に腕を回し甘えてくる主ちゃんを腕の中に閉じ込める。
「おそ松くん…もっと…」
「ま、待て…っ!お前は動くなっ」
「大好き…!」
「っ!?」
——ビュルビュルビュル……
あ。
出た。
出ちゃった。
搾り取られた。
——マジかー…。
興奮しすぎた俺は、主ちゃんを満足させる前にすぐイッてしまった。
クソカッコ悪ィ。
どうやら…カリスマレジェンド彼氏になるには、もうちょい修行が必要みたいだ。
・・・
「おそ松くん…寂しくなったら、いつでも会いに来てくれる?」
「いいぜ?スーパーお兄ちゃんマンだからなっ!」
「長いしカッコ悪いよ、それ」
「うっせ」
誰もいない静まり返った廊下。
響くのは二人の声。
思い出を焼き付けるように、互いのクラスや体育館、校庭…全校中を散歩して歩いた。
「俺さ、お前のおかげでサイコーな高校生活だった」
「うん…わたしも」
「…ありがとな」
——俺を好きになってくれて。
未来は不確かだし、永遠なんかありえないのだって分かってる。
でも。
だからこそ。
今、この瞬間を大切にしたい。
大好きだって気持ちを。
どうかこの想いが続きますようにって願う気持ちを。
二人で笑いあえる喜びを。
ぜんぶぜーんぶ大事にしたい。
ずっと一緒にいるという誓いを胸に秘め、俺は主ちゃんの手を強く握りしめた。
きっと幸せにしてやるって、自分に誓ったんだ。
さよならなんか言わせない…って。
・・・