第76章 さよならなんかじゃない おそ松
主人公視点
「ってのどーお?」
こたつでぬくぬくしながら、ゲラゲラ笑うおそ松くん。
差し出されたのは、以前体育館に忍び込んだ時に着ていたセーラー服。
「一回するだけなのに想像力豊かすぎ。凄いとしか言えない…」
「いやぁ、付き合いが長いとさ〜、いろんなパターンの主ちゃんを愛でたくなるわけ」
「は、はぁ…」
よく飽きずに求めてくるよね。
…嬉しいけどさ。
「それに…」
おそ松くんは目が合うと、照れくさそうに頬を赤らめた。
「ほんとに学生時代、お前と出会えてたらなぁーって」
「え…」
半ば呆れていたわたしだけど。
「妬いちゃうの。過去の主ちゃんに。なんで俺、高校生のお前を見つけられなかったんだろーって」
ちゃぶ台に顎を乗せながら、そんなことを平然と言ってのけるおそ松くんは、やっぱりカッコよくて可愛い。
「でも、あの時出会えて本当によかった。わたしを助けてくれて」
「助けたっつーか、お前が勝手に助かったんだよ。俺はAVバッキバキにされただけ」
ニシシと笑いながら彼はこたつの中の脚を悪戯にわたしの太腿の奥へ。
脚の先で器用にショーツを撫で擦られる。
「ちょっと…やめて…っ」
「うわ、やらしー。急に女の声出しちゃって。じゃあ弟たちが帰って来る前に始めよーぜ!ほら、着替えて着替えて〜」
「やだっ!まさかここで!?」
強引に押し倒され、服を脱がされかけたその時、
「たーのもーー!!」
元気な声が玄関から聞こえてきた。
「いや十四松、ここ我が家だから」
「あれ?主ちゃん来てる!わーい!」
「…ちょっと、にぼし買ってくる」
「フッ、ガールがいて照れてるのかい?可愛いブラふごぉっ!?」
愉快な弟くん達が勢揃いだ。
五つの影が居間へ向かってくる。
「んだよもー!勃起収まんねーし!あいつら追い出してくる」
「嫌だ!セーラーしまって」
「主ちゃんのいぢわるー」
「早くっ!」
想像上の話だけじゃなく、今からみんなでドライブしたいかも、なんて思ってしまうわたしは、おそ松くんの言う通りちょっとだけ意地悪だった。