第75章 ※じょし松さんに溺れたい! 500拍手御礼
主人公視点
店員を呼び、トド子ちゃんのカメラで集合写真を撮ってもらった。
席に座ったまま撮ったんだけど、その時、少しだけトド子ちゃんの肩と僕の肩がぶつかったんだ。
肩が触れ合った時、可憐な花を思わせるいい匂いがして、思わずドキドキしてしまった。
もしかして…これが、恋なのかもなんて…。
店員が帰っていくと、トド子ちゃんは食べ物とか自分のカルアミルク、飲み会風景を手当たり次第にパシャパシャと撮り始めた。
レンズ越しに目が合うと、花の精が僕に微笑みかけ、カメラのデータを見せてくれた。
「えへ、沢山撮っちゃった!あ、これ見てー、この間隆夫山登ったの」
「へー紅葉綺麗だね!」
「こっちは隆夫山にある山田寺!天狗には会えなかったけどムササビちゃんに会えたんだ!」
「かわいいね!初めて見たよ」
トド子ちゃんは思いついたように「そうだ」と言うと、スマホを取り出した。
「今日の写真データで送るから、主くんの連絡先聞いてもいいかな?」
願ったり叶ったりである。
ポケットからスマホを出そうとすると、おそ子さんが会話に入ってきた。
「トド子、あたしから主くんに送るから平気だよ」
「え…でも、大変でしょ?」
「大丈夫」
おそ子さん…笑ってはいるが目は異様に殺気立っている。
「ねぇ、それより隆夫山の写真あたしにも見せて?」
「ぁ…うん、いいよ」
カメラを渡され、楽しそうに画面を眺めるおそ子さん。隣のカラ子さんも覗き込んでいる。
(よし。勇気を出すぞ)
二人が写真に夢中になっている間、僕から行動を起こす事にした。
自分からトド子ちゃんの連絡先を聞くんだ。
もう会えないかもしれないし。