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おそ松さん〜ニート達の裏模様〜

第10章 トド松のかくれんぼ



居間に戻ると、兄さん達は真剣な表情で向かい合っていた。


「一松兄さん、トイレおまたせっ」

「あぁ…?もうウンコなんて引っ込んだ…。それどこじゃないし」

「え?」


なにこの空気?
もしや主ちゃんの荷物がバレた!?

おそ松兄さんがボクを睨みつけながら重い口を開く。


「トド松…お前、やらかしてくれたな…」


てか全員目が据わってて怖すぎるんだけど。


「また…血を分けた兄弟で争わなければならないとは…運命とは皮肉なものだ…」

「食べるのはぼくだよ!!」

「なんで…こんな残酷な事をする!!」

「み、みんな、どうしたの?……って!?」


みんなの視線が集中している先…ちゃぶ台の上のそれを見て、ボクは凍りついた。


(ケーキが…4個!!??)


あの、忌々しい今川焼き4個事件が頭をよぎる。今川焼きなだけに!…いや、もうコレ言うのよそう。

主ちゃんがボク達兄弟に6個持ってきてくれていたケーキを、さっき2人で2個食べてしまっていたのだ…!


「あ、でもボクさっき食べたから、それ兄さん達で分けてよ」

「5人で4個をわけろだぁ?1人あぶれるだろーがっ!」


おそ松兄さんの一言で、ボクは思いついた。


「じゃあさ、ケーキをかけて麻雀勝負をするっていうのは?」

「っ!?」

(食いついた…!)


兄さん達の目の色が変わったのを、ボクは見逃さなかった。


「点数の高い順から好きなケーキを選んでいく。ビリの人はケーキお預け。どう?」


5人が勢いよく立ち上がる。


「フッ、悪くない…」

「ケツ毛、燃えても知らないよ?」

「殺したらごめん…」

「うーーおーーーー!!燃えてきマッスル!!」

「この俺に楯つくとは、愚かな弟たちだねぇ」


あー全員バカでよかった。
ボクは襖を開けて笑顔で見送る。


「じゃ、ボクは兄さん達にお茶とケーキ準備して持っていくからっ!はい2階へ行ってー!!」


ケーキに魅せられた愚兄共は、覚悟の炎を眼に宿しながら階段を上って行った。




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