第74章 ぼくだけの姫君 四男END
「伝えりゃいいんじゃねーの?ありのままの気持ちを。今のお前が、主ちゃんをどう思ってるのかさ」
俺がそう言うと、両膝を抱えながらウジウジしだした。
「いや、真の姿を見せるとか…自信ない。そんなの絶対嫌われる。今度こそ完全終了…」
不安がる一松を笑い飛ばし、ドンと背中を叩いた。
「ダハハッ!んなの、嫌われたらそこまでだろ!バーカ!」
「おそ松兄さん!言い方!」
チョロ松が心配そうに声を上げる。
一松は口を閉ざし話す気配なし。
ったく、じれったいなーもうっ!
「だーかーらっ!生まれた時から一緒に過ごしてきて、俺らが一度でもお前を嫌いになったか?」
「っ!?」
「それに、彼女がもしお前に嫌われるのが怖いからって、逃げ回って会ってくれなかったらどう思う?」
「……寂しい」
「じゃあもう主ちゃんを寂しがらせんな。はい解決しました。おしまーい」
一松の肩に手をポンと置いて立ち上がった。
「パチンコ行ってくるわ」
「お、おそ松兄さん…っ!」
弟たちを背に、逃げるように襖を開けた。
こーゆー空気ムズムズすんだよ。
……俺だって、照れくさいの。
「まって」
すぐ後ろから一松の声。
「あの……ありがと」
「へ?」
一瞬、聞き間違いかと思ったけど…
(い、一松が!?あの一松が素直に「ありがとう」!!??)
マジかっ!信じらんねー!
ホントに人類滅亡の日は近いかも。
恋煩い侮るなかれ!!
鼻を擦りながら振り返った。
「へへっ、もうエスパーニャンコはいらねーな」
顔死ぬほど赤くなってたけど、きっともう平気だろう。
そう確信して、襖をそっと閉じた。