第74章 ぼくだけの姫君 四男END
おそ松視点
下を向きうなだれる一松の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「ま、冗談はこれくらいにして…一松、ありがとなっ」
あとは…主ちゃんもありがとう。
一松をこんなに成長させてくれて。
「……?」
一松は頭を上げ、俺の顔をジロジロと見ながら「ありがとう」の理由を探している。
「お前が俺らに相談するなんて初めてだったからさ。お兄ちゃんちょっと嬉しかったぜ?」
「……」
黙ってるけど無視はしていない。
俺にはお見通し。
照れてんだろ?かわいい弟よ。
マトモな恋なんてしてないから分かんねーけど、一松が変わったっつーのは分かる。
他人に壁を作ってたコイツが、初めて兄弟や猫以外と向き合って、悩んで、苦しんでいる。
酷いことをしたってのもさ、内容は聞けずじまいだけど、お前のことだからどうせ強がって変な方向に暴走でもしたんだろ?
そりゃあずっと一緒にいれば、いい所だけじゃなく嫌な所も見せちゃうって。
俺らだってしょっちゅう喧嘩するし。
でもそれが人と向き合うっつーことなんだ。
そこから絆が深まるか壊れるかは二人次第。
俺たちが手伝ってどうこうなるもんじゃない。
「お前さ、俺らに相談なんかしなくても、答えなんて分かってるだろ?」
「…え?」
「俺らにしたみたいにすればいいの」
「…分かんないんだけど」
そのまんまの意味なんだけどねェ。