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おそ松さん〜ニート達の裏模様〜

第74章 ぼくだけの姫君 四男END




あー清々しい。

目の前に広がる真っ暗な人生バンザイ。
前途洋々たるドス黒い未来。


(主、ごめん)


これが、おれがおれでいられる、クズで生きる気力の無い燃えないゴミらしい生き方。


(嫌われたくない)


大体さ、おれが色恋で悩むとか、性に合わないんだよ。


(ずっとそばにいたい)


気持ち悪ィったらありゃしない。


(ぼくから離れて行かないで…)


うるさい。


(一人にしないで)


そんなこと誰も思ってない。


(主がいないと、ぼくはもう…)


「うるせーっつってんだろっ!!」


たまらなくなり、叫びながらドンッと心臓を拳で殴った。
心の声は消え、代わりに鈍い痛みが胸に広がる。
痛くて苦しくて呼吸するのすらしんどい。


「…っ」


思わずしゃがみ込んで胸を押さえた。

おれを避けながら、好奇の眼差しを向けてくる人々。
どうぞどうぞ、大いに楽しめばいい。
他人の不幸は蜜の味なんだろ?あんたらはさ。

アスファルトに視線を落としていると、見覚えのある猫の姿。


「ニャーー…」


さっき逃げた黒猫が、心配そうにおれを覗き込んでいる。


「…おいで」


手を伸ばすと、おれの胸の中へ飛び込んできた。


「ねぇ…おれ、どうすれば……っ!!」


気がつくと泣いていた。

クソダセェ。

猫に慰められるとかありえないでしょ。


抱きしめたぬくもりが、氷に閉ざされた心をあっためてくれていた。







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