第10章 トド松のかくれんぼ
ボクとチョロ松兄さんが火花を飛ばし合っていると、おそ松兄さんの間の抜けた声が仲裁に入った。
「ケンカしてねーで早くケーキ食おうぜー」
「もういい……皿持ってくる!どーせお前ら誰も動かないし働かないし、兄弟で一番優秀な無職DTは僕だしっ!!」
チョロ松兄さんは吐き捨てるようにそう言うと、台所へ向かった。
「…なんか、八つ当たりされた?」
(くそっ、全然身動き取れない…!!)
裸同然の格好でトイレに閉じ込めてるなんて…風邪でも引かせちゃったらどうしよう…!
ボクが少し気を緩めたその瞬間、一松兄さんが襖を開けた。
すかさず声をかける。
「ちょっと待ってー!!どこ行くの!?」
「は?ウンコだけど」
(ヤバいっ!!)
「待ったーー!!先にボクが行くーっ!!」
ダッシュで一松兄さんの前に立ちふさがる。
「…おれにウンコ漏らしてほしいの?」
「いやいやいやそれはやめよう!?じっ…実は、さっき盛大にウンコぶちまけて流し忘れちゃってたっ!!兄弟でも見られたら自殺するレベルだから!だからお願いっ!!先にトイレ行かせてーー!!!!」
額から血が吹き出すほど、床に頭を打ち付け土下座しまくる。
「……わ、わかったって。おれだってそんなん見たくないし…。待ってるから早くして…」
(ぃよしっ!!第一関門突破!!)
一松兄さんが部屋に戻っていく。
ぼくは、脱衣所のバスタオルを持ち、そうっとトイレのドアを開けた。
・・・