• テキストサイズ

おそ松さん〜ニート達の裏模様〜

第74章 ぼくだけの姫君 四男END


主は唐揚げを頬張りながら首を傾げている。


「…今度の休み…あい」

—ピコンッ—

(おい…)


今度はラインに妨害された。

…ワザと?ワザとなの?

なんだその狙いすましたようなタイミング。

口ごもると、唐揚げを食べ終わった主が話しかけてきた。


「ごめん、後で見るから…」

「いや、今見たら?」


内容が気になるので見るよう促した。
申し訳なさそうに指でライン画面をスライドさせている。


「えっと…今度の休み、店長と犬飼くん三人でドッグショー?わー楽しそう!」

「は?いぬかいって誰?」

「あ、バイトくんだよ。犬飼大志(いぬかいたいし)くんって言うんだ」


名前まで喧嘩ふっかけてきてるし。

随分と志の高い名前だなぁおい。


「バカにしてんの?」

「な、なんで!?」

(っつか、貴重な休日をおれじゃなく犬と他の男に使うわけ?)


…と、思ったけど言えるはずもなく、硬く拳を握りしめる。

言えない代わりに、箸を置いて立ち上がった。


「一松くんっ?」

「勝手に行けば?」


マスクをかけて玄関へ。

足音がついてくる。


「ごめん…嫌なら断るから!」


サンダルを履きくるりと振り返った。


「は?誰が嫌だって?」


胸のざわつきを隠し張り付いた笑みを向ければ、悲しそうに俯く主。


「帰らないで…ごめん」

「……どうぞ楽しんで」


泣きそうな顔の主を残し家を出た。
ガチャンとドアを閉めると共に、心の扉も硬く閉ざす。

いいんだ。

おれのことなんか忘れて遊べばいい。

あー楽だ。

やっぱり一人が落ち着く。


(あれくらいで嫉妬するとか、おれってホントクズ…ゴミ確定だ…)


久しぶりに路地裏の猫に会いに行くか。

奮発して猫缶買ってやろう。




ムカつくぐらいよく晴れた昼下がり、自ら進んでひとりぼっちになってしまった。



/ 1118ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp