• テキストサイズ

おそ松さん〜ニート達の裏模様〜

第74章 ぼくだけの姫君 四男END


「一松くーん、ご飯できたよー」

「……」


思考を掻き消すのは、パタパタ聞こえるスリッパの音。


(調子狂うんだよ…)


狸寝入りを決め込み、枕に顔をうずめる。
どうしてお前はさ、黒い気持ちを桃色に変えようとすんの?

おれは一人でいいんだよ。

一人が好きだっつってんだろ。


「ねぇ、起きてったら」


バサリ、と残酷にも布団が剥がされる。


「いてっ」


首根っこを掴まれた。

おれは猫かっ!?


「はーい、食べた後ヅダヤ行きますから、早く起きてーー」

「…まだ眠いから飯いらない」


首根っこをつままれ、上半身だけのそりと起き上がる。
ホントは腹減ってるけど、ワザと嘘をついた。

だって、そうすれば。


「いいから起きて!もう昼過ぎ!いつまで寝てんの!」

「わ、わかったから引っ張んな!」


ほらね。

可愛いむくれ顔が見れるから。


重い瞼を擦りながらベッドから出ると、唐揚げが皿の上で待っていた。
サラダと味噌汁、ごはん…お揃いのコップ。
エプロンを外した主がおれの向かいに座る。


「いただきまーす」

「……」


なんも言わないけど手だけは合わせる。

母さんと味付けが違う味噌汁は、なんだか新鮮でくすぐったい。


「味付けしょっぱくない?」

「べつに」


死ぬほどうまいです、はい。

最近のおれはずっとこの調子。

すっかり主に毒気を抜かれている。

こんな日が続けばいいな、なんて思ったり思わなかったり。


「ねぇ」

「なに?」


それはほんの出来心。

そろそろちゃんと家族に紹介しようかなって思った。
付き合って随分経ったし。

意を決して口を開いたその瞬間。


〜♪
〜〜♪


「あ、ごめん電話!ちょっと待ってて」


主は立ち上がり廊下へ行ってしまった。






/ 1118ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp